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WIA 三国志 365

[Day 76] 許田のひと猟

掲載 記事番号 54592
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[Day 76] 許田のひと猟

三月 · 天下の二人 | 約三分の読み

삼국지 365 · Day 76 · Book 1「星が集まる」
삼국지 365 Day 76 헤더 일러스트
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白門楼(はくもんろう)の白き石の上に、三息(さんそく)が、置かれたる、次なる春、許田(きょでん)の野原の上に、猟の朝が、開かれたり。

許田は、許都(きょと)の東南に、置かれおる、皇帝の猟場(りょうば)にてあった。毎春、天子(てんし)の車駕(しゃが)が、この野原の上に、進み出(い)でて、百官(ひゃっかん)と共に、猟を、お開き給う慣例にてあった。建安(けんあん)四年の春、その慣例が、ひと結、別なる結の下にて、開かれおりたのである。

献帝(けんてい)が、車駕の上に、身を、載(の)せたり。天子の弓が、彼の傍らに、置かれおったのである。劉備(りゅうび)・関羽(かんう)・張飛(ちょうひ)の三人が、車駕の傍らに、共に、立ちおったのである。曹操(そうそう)が、車駕の最も前のほうに、馬を、立てたり。許褚(きょちょ)・典韋(てんい)の二護衛が、曹操の両側に、立ちたり。

猟が、始まりたり。ひと頭の鹿が、野原の角より、駆け出(い)で来たった。献帝が、弓を、上りて、三筋の矢を、放ちたり。三筋とも、外(はず)れたり。献帝が、低く、息を、呑み込みたり。彼の口が、低きひと言を、漏(も)らしたり。

「曹公(そうこう)に、ひと矢を、お請(こ)い申す。公の弓を以て、あの鹿を、お取り給え。」

曹操が、低く頭を、垂れたり。されど、彼の手が、天子の弓の柄(つか)を、受け取りたり。天子の弓には、金(きん)にて、書かれたる印(しるし)が、ござりたり。曹操が、その弓を、己が肩の上に、掛け置きたり。ひと頭の鹿が、野原の上を、駆けたり。

삼국지 365 Day 76 중간 일러스트

曹操が、矢を、放ちたり。その鹿の脇腹(わきばら)に、当たりたり。鹿が、地の上に、倒れたり。百官(ひゃっかん)が、共に、「万歳(ばんざい)」と、叫びたり。万歳の喊声(かんせい)が、許田の野原の上に、大いに、響きたり。その万歳の結が、誰人(たれびと)の名のほうへと、向かいたるかが、明らかならざる結にてあった。

献帝が、車駕の上にて、低き頭を、垂れたり。彼の両眼が、わずかに、潤(うる)みたり。関羽が、その結を、見下ろしたり。関羽の眼が、深く、沈み込みたり。彼の手が、青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)の柄を、握りたり。張飛が、その結を、傍らより、見下ろしたり。張飛が、低きひと言を、漏らしたり。

「兄上。今日、ひと矢を、いっそう、放ち給うとも、宜(よろ)しうござるか。」

劉備が、張飛の肩の上に、手を、上り置きたり。彼の口が、低き声にて、申したり。

「三弟(さんてい)。今日の結は、未だ、決定にあらず。今日、放つべき矢は、この野原の上の鹿に、あらず。今日の結は、後の日、別なる席にて、決せらるる事と為(な)らん。今日のこの万歳の結を、汝の胸の内側に、深く、お記し給え。」

張飛が頭を、首肯したり。彼の眼に、しずかなる火が、上り来たった。

曹操が、天子の弓を、肩より、降ろし、献帝の手に、戻し奉らざりき。その弓を、己が従者(じゅうしゃ)の車の上に、載せたり。天子の弓が、ひと臣の車の上に、置かれたる夕にてあった。許褚と典韋とが、その車の傍らに、立ちたり。

許都の本陣へと、戻り行く路の上にて、董承(とうしょう)が、車駕の傍らに、馬を、付けたり。董承の眼が、深く、沈み込みおりたのである。献帝の衣の裾(すそ)の縁(へり)が、風に、軽く、揺れたり。董承の手が、その衣の裾の縁を、しずかに、握りたり。

「陛下(へいか)。今宵、それがしの家に、お進み出(い)で給え。今宵、ひと張の衣の裾が、陛下の手に、お渡し申し上げらるる事と、為(な)り申さん。」

Book 3 の七十六度目の朝が、許田の野原の上にて、しずかに、開かれゆきおったのである。許田猟(きょでんりょう、許田のひと猟)の三字が、三筋の外(はず)れたる矢と、ひと弓の渡しと、万歳の結と、ひと衣の裾の縁とが、ひと席に、置かれたるひと息の種子として、植えつけられつつあったのである。Day 75 の 布末息(ふまつそく)の白き石が、今朝、野原の上の万歳の結の下に、置かれおったのである。

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삼국지 365 Day 76 마무리 일러스트
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✒️ 平訳家の一言 — 延三欽博士(Yeon Sam-Heum, Ph.D.)

天子の弓が、ひと臣の車の上に、置かるる朝があり申す。万歳の喊声が、野原の気を、響(ひび)かしむる、その朝の結、万歳が、誰人(たれびと)の名のほうへと、向かいたるかを、しずかに、お見守り給う席にござる。今日、貴方の朝にも、万歳の喊声が、誰人の名のほうへと、向かいおるかを、お見守り給う席が、もしや、置かれおりてはおらぬか。その向きの結を、しずかに、覗き見られてはいかがであろう。

📅 明日 Day 77:董承の衣の裾

「許田の猟の後、董承(とうしょう)の家にて、ひと張の衣の裾が、献帝の手より、お渡し給われたり。衣帯詔(いたいしょう)の最初の行が、その衣の裾の内側に、隠(かく)されおりたのである。」 — 平訳家 延三欽博士

平訳 — 延三欽 平訳家 · Sam H. Yeon, Ph.D. · 延三欽博士

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延三欽 平訳家

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