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WIA 三国志 365

[Day 54] 二虎の食み合い

二月 · 主なき刀 | 約三分の読み

掲載 記事番号 53272
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[Day 54] 二虎の食み合い

二月 · 主なき刀 | 約三分の読み

삼국지 365 · Day 54 · Book 1「星が集まる」
삼국지 365 Day 54 헤더 일러스트

許都の最初の朝会の終わりたる、その夕、曹操(そうそう)の幕屋の内側にて、荀彧(じゅんいく)が、再び、低きひと言を、主公の耳元に、上りつつあった。

荀彧が、低く、言を、取り出したり。「主公。許都の蔭(かげ)が、堅まりたる今宵、次の手を、あらかじめ、お置き給わねばならず。今、主公の手の内に、天子の印(いん)が、握られおり申す。この印を、初めて、お用い給う席を、お選び給え。」

曹操が、低く、問いたり。「文若(ぶんじゃく)。その席は、いずこか。」

荀彧が、低き微笑を、浮かべたり。「徐州(じょしゅう)の呂布(りょふ)と劉備(りゅうび)に、ござる。呂布が、劉備の屋根の下に、寄り添い置かれおれば、二虎が、ひと穴(あな)に、共に置かれたる席にござる。二虎を、互いの食物(しょくもつ)として、食み合わしめ給わば、ひと虎が、別なる虎を、食い破り、遺れる虎が、主公の手の内へと、自ら、歩み入り来たることと為らん。これを 二虎競食(じこきょうしょく)の計(けい)と申す。」

曹操が頭を、深く、首肯したり。「その手の最初の行は、いかに置くか。」

荀彧が筆を、取りたり。「天子の詔書の名を以て、劉備を、征東将軍(せいとうしょうぐん)・宜城亭侯(ぎじょうていこう)・徐州牧(じょしゅうぼく)に、お封(ほう)じ給え。劉備には、別なる密書(みっしょ)を、共に、お下し給い、呂布を、討つことを、明らかに、お命じ給え。劉備が、その命に、随(したが)えば、呂布と申す猛将が、消え、劉備が、その命に、随い得ざらば、呂布が、先(ま)ず、劉備を、食い破ることと為らん。いずれにても、主公の手の内には、ひと結いっそう大いなる得が、遺り申す。」

曹操が、低く、笑みたり。「二虎の食物が、互いに為り行く席。今宵の筆を、随えん。」

その夜、詔書と密書とが、共に、書かれたり。詔書には、天子の名が、大いなる印にて、押され、密書には、曹操の小さき印が、しずかに、押されたり。使(つかい)が、二張の書(しょ)を、懐の内側に、並べて入れて、徐州のほうへと、路を、発(た)ちたり。

삼국지 365 Day 54 중간 일러스트

数日(すうじつ)の後、使が、徐州(じょしゅう)の城門の内側に、到達したり。劉備が、丁重(ていちょう)に、詔書を、奉じて、受けたり。劉備が、北を向きて、四度、礼したり。さらに、使が、懐の内側の密書を、しずかに、渡したり。密書の最初の行には、曹操の手が、記したる、ひと行が、置かれおったのである。「呂布を、お斬(き)り給え。その功を以て、徐州を、いっそう深く、お委(ゆだ)ね申し上げらるべし。」

劉備が、長き息を、呑み込みたり。劉備が、張飛(ちょうひ)と関羽(かんう)とを、傍らに、呼びたり。

張飛が、大いに、叫びたり。「兄上。呂布は、二度、主を、改めたる狗(いぬ)に、ござる。この密書に、随いて、彼を、お斬(き)り給え。」関羽が、低き声にて、続けたり。「兄上。呂布が、我らに、依託(いたく)したる身に、ござる。依託したる人を、殺す事は、義(ぎ)に、悖(もと)り申す。」

劉備が、二弟を、望み見たる後、低く、答えたり。「関羽の弟の言、宜(よろ)し。依託したる人を、己(おの)が手にて、撃つ事は、桃園(とうえん)の結義(けつぎ)の名に、罅(ひび)の入る席なり。曹操の密書は、二虎競食の計なり。この計を、そのままに、随(したが)えば、我が名が、曹操の虎の手先(てさき)として、記さるることと為らん。この密書は、受けざりしごとくに、しずかに、抽斗(ひきだし)の内側に、横たえ置かん。」

劉備が、使に、謝恩(しゃおん)の礼を、上りたる後、使を、再び、曹操のほうへと、戻し送りたり。密書の答(こた)えは、書かず、詔書の感謝のみを、上りたり。使が、戻り行きたる後、劉備が、その密書を、懐より、取り出して、蝋燭(ろうそく)の上に、近く、置きたり。関羽が、低く、止めたり。「兄上。お焼き給う事勿(な)かれ。このひと張の密書が、後の日、我らの潔白(けっぱく)を、証(あか)しゆくひと張の証(あかし)と、為(な)り得申す。」劉備が首肯して、密書を、再び、抽斗の内側に、横たえたり。

ひと方、呂布は、徐州城内の客房(きゃくぼう)にて、何ごとも、知らざるままに、酒を、取りおりたのである。ある日、張遼(ちょうりょう)が、しずかに、呂布の傍らに、座(ざ)したり。「将軍。曹操の使が、劉備の城内に、行きて来たり申せり。お慎(つつし)み給え。」呂布が、ひと杯を、空(あ)けつつ、笑みたり。「我は、劉玄徳(りゅうげんとく)の屋根の下に、横たわりたる身なり。玄徳は、我を、お撃ち給わざらん。」張遼が、頭を、低く、垂るるのみにて、これより以上、言を、継がざりき。

Book 2 の五十四度目の夜が、劉備の抽斗の上にて、しずかに、深まりゆきつつあった。二虎計(じここけい、二虎の計)の三字が、詔書と密書とが、ひと懐に、並びて、置かれ、密書が、火に、触れずして、抽斗の内側に、横たえらるるひと息の種子として、植えつけられつつあったのである。Day 53 の 許都朝(きょとちょう)の玉璽の席が、今宵、密書の小さき印の席の上に、移り来たりて、置かれおったのである。

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삼국지 365 Day 54 마무리 일러스트
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✒️ 平訳家の一言 — 延三欽博士(Yeon Sam-Heum, Ph.D.)

ひと人の手に、二虎を、互いの食物として、食み合わしむる計(けい)の密書が、渡さるる夕があり申す。密書の行を、そのままに、随(したが)えば、己が名が、別なる人の虎の手先として、記され、随わざらば、己が屋根の下の猛将が、生き遺る席にござる。今日、貴方の抽斗の内側にも、そのひと張の密書が、もしや、横たえられおりてはおらぬか。その横たえの結を、ひと結いっそうしずかに、覗き見られてはいかがであろう。

📅 明日 Day 55:玉璽のひと裾

「江東(こうとう)の孫策(そんさく)が、父の遺物(いぶつ)を、懐の内側より、取り出(い)でたり。その遺物は、ひと欠片(かけら)の玉璽(ぎょくじ)にてあった。袁術(えんじゅつ)の耳元に、ひと裾の重みが、置かるる夜が、近づきおりたのである。」 — 平訳家 延三欽博士

平訳 — 延三欽 平訳家 · Sam H. Yeon, Ph.D. · 延三欽博士

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