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WIA 三国志 365

[Day 14] 銀にて買う忠義

一月 · 星が集まる | 約三分の読み

掲載 記事番号 50136
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[Day 14] 銀にて買う忠義

一月 · 星が集まる | 約三分の読み

삼국지 365 · Day 14 · Book 1「星が集まる」

삼국지 365 Day 14 헤더 일러스트

呂布(りょふ)の赤兎(せきと)が董卓(とうたく)の懐の内側へと渡り来たりたる翌(あく)る日の朝、董卓が己が席より立ち上がりて、朝廷の真ん中をしずかに見廻したり。刀ひと振の刃のみにては、朝廷の全(すべ)ての席がひと度に取られざる事を、彼は能(よ)く知りおったのである。刀の後ろに、銀(ぎん)と金(きん)の別なる結が、並びて置かれてこそ、朝廷の席全体が値にて換算(かんさん)さるる事を、董卓は早きより知りおったのである。

最初の席に、司徒(しと)王允(おういん)がおった。董卓が王允の席を、上り上げたり。太尉(たいい)の席が、王允の肩の上に載せられたのである。王允が頭を深く垂れたり。されど、鬚(ひげ)の端がしずかに震えたり。承(う)け置けども、心にては承けざる席であった。鬚の内側に、小さきひと息が再び埋められおったのである。

二番目の席に、文士(ぶんし)蔡邕(さいよう)がおった。蔡邕は、永く以前、朝廷より追われて、故郷の草廬(そうろ)にて文を書きつつ住みおりたる人にてあった。董卓が車を遣(つか)わして、蔡邕を召し呼びたり。三日(みっか)の内に、蔡邕の席が侍中(じちゅう)にまで上り行きたり。承けざれば、族滅(ぞくめつ)の威(おど)しが、後ろに従いたり。承けたのである。車の輪が、洛陽の街の上にて回り行く間、蔡邕の手の内側にて、筆がしずかに震えおったのである。

三番目の席に、周毖(しゅうひ)と伍瓊(ごけい)がおった。二人が士大夫(しだいぶ)の名を集めて、董卓に推挙(すいきょ)したり。「主公。この士大夫の名々を地方の太守へと送り給いて、彼らの口を、値にて開き置き給え。各地方の太守の席が、主公の銀にて括られたれば、朝廷の真ん中に入り来たる反発の声が、半(なか)ばは減じ申さん。」

董卓が首肯したり。袁紹(えんしょう)を勃海(ぼっかい)太守に、韓馥(かんふく)を冀州牧(きしゅうぼく)に、劉岱(りゅうたい)を兗州刺史(えんしゅうしし)に、孔伷(こうちゅう)を豫州刺史(よしゅうしし)に、張咨(ちょうし)を南陽太守(なんようたいしゅ)に、張邈(ちょうばく)を陳留太守(ちんりゅうたいしゅ)に、送りたり。皆な、士大夫の名値(なね)ある席にして、皆な、董卓の銀の重みが頸(くび)の後ろに掛かりたる席であった。

삼국지 365 Day 14 중간 일러스트

朝廷の真ん中に、新たなる風俗が育ち始めたり。官職が下り来たる席に、その官職の値が、共に記されて下り来たる風俗にてあった。官職の名が、値と共に置かれおり、官職の値が、官職の名よりも、いっそう大きく読まれつつあったのである。十常侍(じゅうじょうじ)時代の売官売職(ばいかんばいしょく)が、暗き隅にて為されおりたれば、今日の董卓の売官売職は、朝廷の真ん中の明るき席にて、公(おおやけ)に為されおったのである。

その夜、司徒王允の小さき家の客間(きゃくま)に、五人の年経たる大臣がしずかに集(つど)いたり。一杯の酒も出でざりき。ひと言の大いなる言も出でざりき。ただ、五人がひと度ずつ、互いの顔を、永く望み見たり。その望み見の席の内側に、今日の朝廷にて値にて括られざりたる五人の名が、しずかに置かれおったのである。

王允が鬚の端を撫で下ろしたり。ひと言を低く取り出したり。

「諸(もろもろ)の方々。今日、朝廷の真ん中にて、銀にて買う忠義(ちゅうぎ)が、公に置かれつつあり申す。値にて買い置かれたる忠義は、別なる値の前にて、再び売られゆく種類の忠義にござる。ただ、ひと事——値にて買い置かれざる忠義が、この五人の顔の内側に、なお遺りおり申す。この五つの顔を、お忘れなきように。明けたる朝の席にて、我ら五人の足跡が、各々別なる処へと去り行くこととなりたるとも——今宵の顔のみは、互いに、お忘れなきように。」

五人がひと度ずつ、首を深く垂れたり。客間の灯火(ともしび)がしずかに揺れたり。価忠(かちゅう、値にて買い置かれたる忠)の二字が、今日朝廷の真ん中に植えつけられつつある間、昨夜不売(さくやふばい、今宵に売られざりたる席)の小さき種子が、この客間の真ん中に、しずかに植えつけられつつあったのである。

Book 1 の十四度目の夜が、洛陽朝廷の真ん中と、王允の小さき客間との二席にて、しずかに深まりゆきつつあった。価忠 の二字が、官職の名の傍らに、値が共に記されて下り来たる風俗の種子として、植えつけられつつあったのである。Day 13 の赤兎の値(赤兎価)の結が、今日、ひと結いっそうに進みて、朝廷全体の値へと拡張されおったのである。その拡張の外側に、値にて買い置かれざる五人の顔が、しずかに遺りおったのである。

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삼국지 365 Day 14 마무리 일러스트

📌 覚え書 — 正史と演義

🟢 正史『後漢書』董卓伝と王允伝(おういんでん)は、董卓(とうたく)が司徒(しと)王允(おういん)の席を太尉(たいい)に上り上げ、故郷にて流浪しおりたる文士蔡邕(さいよう)を、三日の内に侍中(じちゅう)まで昇進せしめたることを、明らかに記す。🟢 周毖(しゅうひ)と伍瓊(ごけい)が士大夫の名を集めて、袁紹(えんしょう)を勃海(ぼっかい)太守に、韓馥(かんふく)を冀州牧に、劉岱(りゅうたい)を兗州刺史に、孔伷(こうちゅう)を豫州刺史に、張咨(ちょうし)を南陽太守に、張邈(ちょうばく)を陳留太守に、送りたる事の具体もまた、後漢書董卓伝の記録なり。🟡 裴松之(はい・しょうし)注の断片のいずこにも、王允の小さき客間の五人の夜の具体の場面は、伝わらず。🟠 『三国志演義』第四回は、董卓の銀と金の売官売職を劇化しつつ、士大夫分散の正史の具体を圧縮して見す。本編は、この脚色の枠をそのままに従いつつ、王允の客間に五人の席を加えたり。🔴 本編の「価忠」(かちゅう)の二字創作と、「昨夜不売」(さくやふばい)の四字補助創作、ならびに値にて買い置かれたる忠義は別なる値の前にて再び売らるる種類なりという鏡の解釈は、本編の再構成である。漢字創作の系譜が、今日、十四番目の席に到達したり。

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✒️ 平訳家の一言 — 延三欽博士(Yeon Sam-Heum, Ph.D.)

官職の名の傍らに、値が共に記されて下り来たる席があり申す。値にて買い置かれたる忠義は、別なる値の前にて、再び売られゆく種類の忠義にござる。ただ、その風俗の外側に、値にて買い置かれざる五人の顔が、しずかに遺る夕があり申す。今宵、貴方の席にも、値にて換算され得ざる顔が、もしやおありにならぬか。その遺しの結を、ひと結いっそうしずかに覗き見られてはいかがであろう。

🌍 その年、地球の反対側にては…

西暦一九〇年の春、ローマの コモドゥス の近衛長クレアンデル(Cleander)の執務室の真ん中にて、ひと年の執政官(consul)の席二十五が、ひと度に値にて売られたりと伝わる。人の名の傍らに、金(aurum)の重みが共に記されて下り来たる風俗が、その春のローマに、公(おおやけ)に座り始めたりとのこと。ラテン語の一句「venalis fides(売らるる忠義)」が、その春の執務室の記録の縁(へり)に刻まれたと伝わる。東の果ての洛陽の朝廷の真ん中に、価忠 の二字が植えつけられおりたるその夜、西の果ての執務室の真ん中にもまた、同じ流儀の風俗が、座りおったのである。

📅 明日 Day 15:二度父を改めたる者

「呂布の腰に赤兎の手綱が括られたる後の夕、朝廷の人々が、呂布をしずかに、ひと別号にて呼び始めたり。ひと度にひと度ずつ、父を二度、改めたる人。」 — 平訳家 延三欽博士

平訳 — 延三欽 平訳家 · Sam H. Yeon, Ph.D. · 延三欽博士

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