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WIA 三国志 365

[Day 59] 僭の夢

二月 · 主なき刀 | 約三分の読み

掲載 記事番号 53818
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[Day 59] 僭の夢

二月 · 主なき刀 | 約三分の読み

삼국지 365 · Day 59 · Book 1「星が集まる」
삼국지 365 Day 59 헤더 일러스트

轅門の矢が、戦を、鎮めたるより、数月(すうげつ)の経たる後、寿春(じゅしゅん)の卓の上にて、ひと欠片(かけら)の玉璽(ぎょくじ)が、ひと人の夢を、冷たく、染(し)めおったのである。

袁術(えんじゅつ)が、寿春の内室(ないしつ)の卓の上に、自ら、ひと張の書(しょ)を、広げ置きたり。最初の行には、かく、記されおった。「漢(かん)の気数(きすう)が、暮れて、袁氏(えんし)の星が、中天(ちゅうてん)に、上りたり。袁公(えんこう)を、皇帝として、推戴(すいたい)すべし。」袁術の手の内の玉璽が、火の光の下にて、しずかに、煌(きら)めきたり。

袁術が、長史(ちょうし)楊大将(ようたいしょう)を、呼びたり。「漢の天が、すでに、暮れたり。この玉璽が、我が手に、入り来たりたるは、天の意(こころ)に、あらずや。今日より、我は、仲氏(ちゅうし)の名にて、皇帝の席に、上らん。」楊大将が頭を、低く、垂れつつ、諫(いさ)めたり。「主公。漢の四百年の天が、未だ、完全に、暮れざりに、ござる。今、名を、膨(ふく)らましむれば、天下の全(すべ)ての刀が、主公の名の下に、集(つど)い来たる事と、為(な)り申さん。」

袁術が、笑みつつ手を、振りたり。「恐るる事勿(な)かれ。我が名の蔭(かげ)は、天下の刀よりも、大なり。」そのひと言が、寿春の卓の上に、冷たく、置かれたり。

その数日(すうじつ)の間に、ひと振の兵(へい)と、ひと張の帝服(ていふく)とが、寿春の倉の内側に、積まれたり。袁術が、自らの字(あざな)を、仲家(ちゅうか)と、号(ごう)したり。僭称(せんしょう)にてあった。朝廷の名を、自ら、取り来たりて、己が名の上に、載せたのである。

삼국지 365 Day 59 중간 일러스트

その報が、許都(きょと)の曹操(そうそう)の耳元に、届きたり。曹操が大いに、笑みたり。「袁術が、自らの頸(くび)を、自らの手にて、地の上に、置きたるな。天子(てんし)の名を、有(ゆう)するこの席にて、僭称したる者の頭(こうべ)を、収めて、お差し上げ申すは、我が最初の功(こう)と、為らん。」荀彧(じゅんいく)が、低く、続けたり。「主公。ひと張の詔書を、天下の全(すべ)ての諸侯のもとへと、お下し給え。寿春の僭称を、撃てと申すひと行に、ござる。」

その報が、江東(こうとう)の孫策(そんさく)の耳元にも、達したり。孫策が、周瑜(しゅうゆ)の前にて、低く、笑みたり。「袁術が、父の玉璽を、懐の内側に、納めおりたるに、今日、その玉璽の表面の上に、自らの夢を、載せて、しまえり。この夢は、袁術を、呑み込みて、しまわん。我ら、この時に、寿春との縁(えん)を、お絶ち申さねばならぬ。」周瑜が、低く、答えたり。「兄上。今日、ひと張の書を、袁術に、お送り給え。関係(かんけい)を、絶(た)つとのひと行を、明らかに、お記し給え。その後は、我らが、江東の地を、守りつつ、許都の詔書を、お待ち申せばよし。」

その夜、孫策が、ひと張の絶縁書(ぜつえんしょ)を、書きたり。最初の行に、かく、置かれたり。「江東の孫策は、漢の臣にして、僭称の臣にあらず。今日より、寿春の天と、江東の天とは、互いに、異(こと)なる天にござる。」使(つかい)が、馬に、乗りて、寿春のほうへと、路を、発(た)ちたり。玉璽を、担保として、預け置きたる、その卓より、今宵、ひと張の絶縁書が、戻り行きおりたのである。

ひと方、徐州(じょしゅう)の劉備(りゅうび)の耳元にも、その報が、達したり。劉備が頭を、深く、垂れたり。「漢の臣として、生まれたる身が、僭称の名の下に、置かるる事は、能(あた)わざるなり。許都の詔書が、下り来たれば、徐州の刀が、寿春のほうへと、動く事と、為らん。」関羽が、低く、頭を、垂れたり。張飛が、ひと杯の酒を、飲みつつ、申したり。「兄上。今日の夜が、宜(よろ)しき夜なり。」

Book 2 の五十九度目の夕が、寿春の卓の上にて、しずかに、深まりゆきつつあった。僭号夢(せんごうむ、僭称の名の夢)の三字が、ひと欠片の玉璽と、ひと張の帝服と、ひと張の絶縁書とが、ひと席に、置かれたるひと息の種子として、植えつけられつつあったのである。Day 55 の 借兵璽(しゃくへいじ)の担保が、今夕、僭称の夢の最初の染みと、為りて、卓の表面の上に、染(し)み広がりおったのである。

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삼국지 365 Day 59 마무리 일러스트
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✒️ 平訳家の一言 — 延三欽博士(Yeon Sam-Heum, Ph.D.)

ひと人の手の内側に、ひと欠片の玉璽が、置かれたる後、その玉璽の表面の上に、自らの名を、あまりに早く、お載せ給う夕があり申す。その載せの刹那(せつな)に、その人の名が、自らの頸を、地の上に、置く最初の席と為(な)り申す。今日、貴方の手の内側にも、あまりに早く、載せられゆかんとする名が、もしや、置かれおりてはおらぬか。その載せの結を、ひと結いっそうしずかに、覗き見られてはいかがであろう。

📅 明日 Day 60:寿春の冕旒冠(Book 2 フィナーレ)

「寿春の壇(だん)の上に、ひと冕旒冠(べんりゅうかん)が、載せられたり。袁術が、自らの名の上に、皇帝の名を、載せ給う朝にてあった。Book 2 の六十番目の朝が、僭称の冠の下にて、しずかに、開かれおりつつあった。」 — 平訳家 延三欽博士

平訳 — 延三欽 平訳家 · Sam H. Yeon, Ph.D. · 延三欽博士

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延三欽 平訳家

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