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WIA 三国志 365

[Day 110] 西涼の馬蹄

掲載 記事番号 57436
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[Day 110] 西涼の馬蹄

四月 · すべて捨てた夜 | 約三分の読み

삼국지 365 · Day 110 · Book 1「星が集まる」
삼국지 365 Day 110 헤더 일러스트
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許都(きょと)に、お達(たっ)し給いたる明けたる日の朝、ひと張の伝令(でんれい)が、西より、お上り給いたり。東の窓に、未(いま)だ、日が、完全に、お昇り給わざる時刻にてあった。丞相府(じょうしょうふ)の庭の雀(すずめ)二(ふた)つばかりが、昨日(きのう)の落ちたる百日紅(さるすべり)の花弁(はなびら)を、互(たが)い違いに、お啄(ついば)み給いおったのである。

お上り給いたる人は、西涼(せいりょう)の長安(ちょうあん)の辺界(へんかい)より、参(まい)り給いたり。馬の四つの足が、塵(ちり)に、お覆(おお)われ給いおったのである。伝令の内容は、短かりき。西涼太守馬騰(ばとう)が、過(さ)りたるひと月の間(あいだ)、兵を、二度(ふたたび)、新(あら)たに、お集(つど)え給い、二人のご子息馬超(ばちょう)・馬休(ばきゅう)と、甥(おい)の馬岱(ばたい)を、各(おのおの)、三郡(さんぐん)に、お分(わ)かち、お立て給いたり。

「天子(てんし)に、反旗(はんき)を、上り給いたるにあらず、ござる。」伝令が、両手を、お合(あ)わせ給いたり。「ただ、馬を、再び、お選(えら)び給いつつあるのみに、ござる。」

曹操(そうそう)は、永く、西の窓の外を、お見つめ給いたり。朝の陽光(ようこう)が、正(まさ)に、庭の百日紅の花の上に、お降(お)り給いつつあったのである。その紅(くれない)の花の上に、郭嘉(かくか)の棺(ひつぎ)が、昨日まで、お置き給われおったのである。今日の早きに、棺は、既(すで)に、西の陵(りょう)へと、お移し給われおったのである。

曹操が、荀彧(じゅんいく)を、本営に、お呼び給いたり。

巻物を、机の上に、再び、お広げ給いたり。昨日、筆を以て、円(まる)を、お描(えが)き給いたる四つのお名が、その儘(まま)、お遺(のこ)り給いおったのである。右の二番目に、西涼(せいりょう)・馬騰(ばとう)四つの文字が、ござりたり。

「文若(ぶんじゃく)。奉孝(ほうこう)が、このお名を、それがしに、お告(つ)げ給いたるな。」

「何(なに)と、お申し給いたるか。」

「自(みづか)らの席に、お置き給うこと、無きように、と、お申し給いたり。自らの席にては、虎(とら)に、ござれども、許都の席に、お呼び寄せ、お座らせ給い給わば、ひと柄(え)の乾(かわ)きたる薪(たきぎ)に、為(な)る、と。」

荀彧が、両手を、お合わせ給いたり。

「丞相、そのお言葉を、今日、再び、重く、お受け置き給え。いまは、未(いま)だ、西涼の馬騰が、自らの席にて、馬を、お選び給いおる、のみに、ござる。轡(くつわ)を、お握り給う手の指先(ゆびさき)が、いずれの方向を、お向き給うべきや、本人もまた、お知り給わざる席に、ござる。」

「彼を、許都へと、お呼び給う拍子を、今日は、お後(おく)らせ給うとの事、にござるな。」

「さやうに、ござる。その拍子は、二年(にねん)の後、いっそう大いに、お必要と、為(な)り給うる席が、ござる事と、為り申さん。」

曹操は、永く、お言葉なく、ござりたり。その後、筆を、上り上げ給いて、巻物の上の「馬騰」の二文字の下に、小さく、ひと行を、お記し添(そ)え給いたり。

待時(時を、お待ち給う)

その二文字を、お読み給い、再び、お読み給いたり。二度目(にどめ)に、お読み給うる時には、声が、お聞こえ給うほどに、小さく、お朗読(ろうどく)給いたり。荀彧もまた、その二文字を、お従いて、お読み給いたり。

「奉孝の拍子の内側に、その二文字が、既に、お入り給いおりたるところに、ござる。」

曹操が頭を、お首肯(しゅこう)し給いたり。

삼국지 365 Day 110 중간 일러스트

その正午(しょうご)の頃(ころ)、西涼のほうの風聞(ふうぶん)のひと自(おの)ずからが、再び、丞相府に、お入り給いたり。

馬騰の長子(ちょうし)馬超(ばちょう)が、二十二のお年(とし)にて、既に、父の先鋒(せんぽう)を、お任(まか)り給いおる、との報せにてあった。背丈(せたけ)が、九尺(きゅうしゃく)に、近きに、為(な)り給うる、と、お申し給いたり。顔(かんばせ)が、白き玉(たま)のごとく、唇(くちびる)が、紅(くれない)に、お染(そ)まり給いて、西涼の兵士たちが、彼を、「面玉将軍(めんぎょくしょうぐん)」と、お呼び申し上げ給う、と、お申し給いたり。馬に、お乗り給わば、馬と、ひと身(ひとみ)に、お成(な)り給う、とも、お申し給いたり。

荀彧が、その風聞を、曹操に、お伝え給いたり。

「顔が、白き玉のごとし、と……」

曹操が、短く、お笑(わら)い給いたり。そのお笑いの内側には、感嘆(かんたん)と警戒(けいかい)とが、半(なか)ばずつ、混じりおったのである。

「奉孝が、お生き給いおりたれば、このお名もまた、円(まる)の内側に、お入れ給いたるところに、ござる。」

曹操は、その日の午後、巻物の「馬騰」の傍(かたわ)らに、「馬超(ばちょう)」三文字を、お記し加(くわ)え給いたり。下には、ひと行を、お添(そ)え給いたり。

待面(顔を、お見給うを、お待ち給う)

その三文字を、再び、お読み給いたり。巻物の上には、いま、五つのお名が、ござりたり。劉備(りゅうび)・劉表(りゅうひょう)・孫権(そんけん)・馬騰(ばとう)・馬超(ばちょう)。

丞相府の西の窓の彼方(かなた)、午後の光が、永く、お横たわり給いたり。庭の百日紅の花ひと房(ひとふさ)が、風に、お落ち給いたり。曹操は、その落ちたる花を、永く、お見つめ給いたり。

奉孝の席は、未(いま)だ、お空(あ)き給いおったのである。お空き給いおるその席の傍(かたわ)らに、今日は、五つのお名が、並(なら)びて、お置かれ給いおる、のみにてあった。

西の空の端にて、西涼の朝が、いま、お始まり給いおりたる頃(ころ)にてあった。

馬騰(ばとう)は、彼の馬屋(うまや)の内側にて、四歳(よんさい)の若き馬ひと頭の前足を、自(みづか)らの手にて、ゆっくりと、お撫(な)で給いおったのである。馬は、未だ、お名を、お持(も)ち給わざりき。子(こ)の馬超は、その馬屋の戸口(とぐち)に、お立ち給いて、父の後ろ姿を、お見つめ給いおったのである。二十二の馬超の眼の内側には、父が、ひと度も、お見給いたる事のなき、ひと自(おの)ずからの遠き空が、既に、お入り給いおったのである。

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삼국지 365 Day 110 마무리 일러스트
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✒️ 平訳家の一言 — 延三欽博士(Yeon Sam-Heum, Ph.D.)

お去り給いたる人が、お遺(のこ)し給いたるひと行のお名の下に、自(みづか)らの手にて、「時を、お待ち給う(待時)」と、お記し添え給う日が、ござる。その二文字の内側にて、急(いそ)ぎて、お駆(か)け給わざる、ひと結が、お育(はぐく)まれ給う。我らもまた、時に、傍(かたわ)らの大切なるお名の下に、「今日は、未(いま)だ、ござらず」と、お記し置き給わねばならぬ席が、ござらぬか。その「未だ、ござらず」が、遠き後の日を、いっそう深く、お致し給う席に、ござる。「未だ、ござらず」と、「永く、ござらず」との間(あいだ)に、人の大半(たいはん)の結意(けつい)が、お住まい給う。今日、貴方が、お選び給うお席は、その二つの間の、いずれの側に、近きに、ござるか。お選び給う事、それ自体(じたい)が、既に、ひと結意にも、ござる。

📅 明日 Day 111:南の窓辺(まどべ)の巻物

「馬騰のお名が、巻物に、お上り給いたる明けたる日の夕、曹操は、南の窓辺に、お座り給いて、ひと張の荊州(けいしゅう)の地図を、お広げ給いおったのである。地図の中央に、襄陽(じょうよう)が、ござりたり。」 — 平訳家 延三欽博士

平訳 — 延三欽 平訳家 · Sam H. Yeon, Ph.D. · 延三欽博士

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