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WIA 三国志 365

[Day 119] 竹林の彼方

掲載 記事番号 58209
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[Day 119] 竹林の彼方

四月 · すべて捨てた夜 | 約三分の読み

삼국지 365 · Day 119 · Book 1「星が集まる」
삼국지 365 Day 119 헤더 일러스트
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襄陽(じょうよう)の南より、半日(はんにち)、お行き給うと、清き小川(こがわ)ひと筋が、お流れ給い、その彼方(かなた)に、青き竹林(ちくりん)が、ござりたり。

竹林の彼方の丘の上に、小さき草堂(そうどう)ひと軒が、お立ち給いおったのである。草堂のお主(あるじ)は、しずかにてあった。お名は、軽(かろ)く、お申し給われ給わざりき。彼のお名の代(か)わりに、荊州(けいしゅう)の学者たちの間(あいだ)にては、機伯のお友、はたまた、南の学者 との称号が、永く、お巡(めぐ)り給いたり。お名が、お巡り給わざりたる事、それ自体(じたい)が、荊州の内側にて、そのお名の重さを、いっそう、お大きく、お致し給いおったのである。

草堂のお主は、七旬(しちじゅん)に、お近き人にてあった。若き時、中原(ちゅうげん)の学堂(がくどう)に、永く、お居(い)給いたり、中年(ちゅうねん)に、洛陽(らくよう)の王廷(おうてい)の傍(かたわ)らにて、席を、お受け給いたる事、ござりたれども、彼は、その席を、ひと月にて、お降ろし置き給いて、南へと、お降(くだ)り給いたり。荊州に、お降り給いてより、二十年を、お越(こ)え給いたれども、その二十年の間、彼は、自らのお名を、公然(こうぜん)と、外へと、お出(い)で給いたる事、ござらざりき。

その代わりに、彼の草堂には、十日(とおか)に、ひと度、路にて、お会(あ)い給いたる風聞のごとく、お聞こえ給う集(つど)いが、ござりたり。集いには、四五人が、お来り給いたり。お名のござる人もまた、お名のなき人もまた、共に、お混(ま)じり給いおったのである。

その夕の集いには、三人が、お来り給いおりたのである。

最初は、伊籍(いせき)。襄陽刺史府(じょうようししふ)の従事(じゅうじ)にてあった。字(あざな)は、機伯(きはく)。劉表(りゅうひょう)の麾下(きか)にてあれども、劉備(りゅうび)に、密(ひそ)かに、好意(こうい)を、お抱(いだ)き給いおりたる人にてあった。第二は、石韜(せきとう)。お名は、しずかにてあれども、荊州の北の小さき学堂にて、学生たちを、お教え給いおりたのである。第三は、ひと若き青年(せいねん)にてあった。髭(ひげ)が、未(いま)だ、長からざりき。眼差(まなざ)しが、清く、堅(かた)かりき。彼のお名は、今宵、この部屋の内側にて、しずかにのみ、お呼ばれ給いたり。

草堂の老主が、まづ、お口を、お開き給いたり。

「機伯が、今宵、遠き路を、お来り給いたるな。」

伊籍が、両手を、お合(あ)わせ給いて、礼を、上り上げ給いたり。

「先生。風聞ひと自(おの)ずからを、お確(たし)かめ給うべく、お参(まい)り給いたり。北の曹操(そうそう)が、来年(らいねん)の春、南征(なんせい)を、お準備給うとの事が、いま、風聞にあらずして、事実(じじつ)に、お近き、ござる。」

老主は、軽く頭を、お首肯(しゅこう)し給いたり。その後、しずかに、石韜のほうへと、視線を、お移し給いたり。

「石韜。汝(なんじ)は、いかに。その春の前にて、荊州の学者として、汝の席は、いずれの側に、ござり給うべきや。」

石韜は、永く、お言葉なく、ござりたり。その後、ゆっくりと、お答え給いたり。

「それがし、自(みづか)らの席に、その儘(まま)、お居り給う、ござる。ただ、ひと人のお名のみを、小さく、風聞として、お流し置き給うを、欲す。」

「いかなるお名なるか。」

「この部屋の内側に、いま、お座り給う、最も若きお友のお名に、ござる。」

第三の若き青年は、お顔を、紅(くれない)に、お染(そ)まらしめ給わざりおりたのである。席より、お立ち給わざりき。ただ、永く、自らの膝(ひざ)のみを、お見下ろし給いおったのである。石韜のお言葉が、自らに、お向(むか)い給いたる事を、彼は、既(すで)に、お知り給いおり、そのお言葉を、自らが、お受け給わねばならぬ事もまた、お知り給いおったのである。

老主が、伊籍のほうへと、再び、視線を、お移し給いたり。

「機伯。汝の記憶(きおく)にて、いま、新野(しんや)の劉皇叔(りゅうこうしゅく)と、お申し給うお方は、いかなるお方に、ござり給うか。」

「劉皇叔は、四十七の席にて、七年を、毎朝(まいあさ)、後庭を、ひと巡(めぐ)り、お巡り給うお方に、ござる。最近(さいきん)は、その歩みが、少しく、短くなり、堅くなり給いたると、お聞き申し上げ申せり。」

老主が、お笑(わら)い給いたり。そのお笑いは、短かりき、されども、お意味(いみ)が、多かりき。

「ひと巡りの歩みが、短くなり、堅くなり給う人は、間(ま)もなく、誰人(たれびと)かを、お探し給うべく、お出(い)で給う人に、ござる。お探し給うべく、お出で給う人の歩みは、お探し給わざる人の歩みよりも、ひと結、短き、ござる。その短さが、却(かえ)って、いっそう遠くに、お達(たっ)し給う、ござる。」

若き青年が、その時、はじめて、お頭(こうべ)を、お上(あ)げ給いたり。老主は、彼を、お見給いて、小さく、お笑い給いたり。そのお笑いの内側にて、この部屋の内側の四人は、皆(みな)、同じものを、お知り給う事と、為(な)りたり。

삼국지 365 Day 119 중간 일러스트

伊籍が、お戻り給う路に、お上り給う前に、老主は、彼に、短きお当付(ことづ)けを、お致し給いたり。

「機伯。荊州の内側に、『南に、隠士(いんし)が、ござる』との風聞を、今日より、ひと月の間、極めて、小さきお声にて、少しずつ、お流し給うべし。ただ、お名は、お申し給うこと、無きように。」

「お名は、いつ、お申し給うべきや。」

「その隠士を、お訪(おとな)い給う最初のお客が、三度目(みたびめ)の歩みにて、戸の前に、お立ち給う時。その時、お名が、自らの席に、お入り給う、ござる。」

伊籍は、両手を、お合(あ)わせ給いて、礼を、上り上げ給いたり。石韜もまた頭を、お垂れ給いたり。若き青年は、お言葉なく、両眼を、お閉(と)じ給いたり。両眼を、お閉じ給いたれども、その瞼(まぶた)の内側の世界が、既に、少しく、明るく、為(な)り給いつつあったのである。

集いが、お終(お)え給われたる後、伊籍は、竹林を、お過り給いて、北の路を、再び、お降り来(き)たり給いたり。

竹林の彼方の小川にて、月の光が、清き水の上に、お降り来(き)たり給いおったのである。伊籍は、その水の前にて、永く、お立ち給いたり。これより、ひと月の間、彼は、襄陽の路地(ろじ)にて、刺史府(ししふ)の回廊(かいろう)にて、商店(しょうてん)の前にて、荊州の小さき市にて、風聞のひと自(おの)ずからを、しずかに、お流し置き給う事と、為(な)り給うべし。

「南に、ひと人が、ござる、ござる。お名は、未(いま)だ、お申し給うべき時にあらず、ござる。されど、その人を、お訪い給いたる者は、別なる人を、三度(みたび)、いっそう、お探し給う必要、ござらず、と、お申し給う、ござる。」

その風聞が、今宵より、竹林の彼方より、新野の北の後庭のほうへと、しずかに、お流れ始め給いおったのである。

新野の後庭にて、今宵もまた、劉備が、ひと巡りを、お巡り給いおったのである。彼は、未(いま)だ、その風聞を、お聞き給わざりき。ただ、歩みが、少しく、短くなり給いたるその席にて、彼は、奇(く)しくも、遠き南の竹林の彼方の誰人(たれびと)かの息遣(いきづか)いを、お感じ給いたる、かのごとくにも、ござりたり。

お感じは、短かりき。お過り給いたり。されど、その短きお感じが、今宵、劉備の後庭のひと隅(すみ)に、小さきお自(おの)ずからとして、お遺り給いたり。

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삼국지 365 Day 119 마무리 일러스트
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✒️ 平訳家の一言 — 延三欽博士(Yeon Sam-Heum, Ph.D.)

彼のお名が、未(いま)だ、世に、大いに、お呼ばれ給わざる青年が、ある竹林の彼方の小さき草堂にて、自(みづか)らの膝のみを、お見下ろし給いおる夕が、ござる。その青年は、その夕には、お名のなきまま、しずかに、お座り給いおる、のみに、ござる。ただ、今日のその夕の部屋の内側にて、四人が、同じものを、共に、お知り給うべき時、そのお名は、既(すで)に、世のひと席を、自らの分(ぶん)として、お受け置き給いおる、ござる。今日、貴方の傍(かたわ)らにも、未(いま)だ、お名の、お呼ばれ給わざる青年の膝が、もしや、ござらぬか。

📅 明日 Day 120(Book 4「捨て尽くされたる夜」のお幕(まく)の閉ぢ):ひと人が、ござる、とのお言葉

「襄陽の南より、お始まり給いたるひと風聞が、北の新野に、お達し給いたるは、それより、ひと月の後(のち)にてあった。新野の小さき市にて、ひと米屋の口を、お経給いて、劉備の耳元(みみもと)に、はじめて、お名のなき隠士の風聞が、お入り給いたり。」 — 平訳家 延三欽博士

平訳 — 延三欽 平訳家 · Sam H. Yeon, Ph.D. · 延三欽博士

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